「ちょっとだけ」と思って開いたSNSで、気づけば30分。見終わったあとは、なんだか疲れているし、時間を無駄にした気もする。もしそんな感覚があるなら、それはあなたの意志が弱いからではありません。仕組みを知れば、距離の取り方が見えてきます。
まず知っておきたいのは、SNSやスマホアプリは「つい見続けてしまう」ように緻密に設計されているということです。私たちが自分の意志だけで対抗するのは、そもそもフェアな勝負ではありません。やめられなくさせる仕掛けには、主に次のようなものがあります。
つまり、やめられないのは自然なことなのです。世界中の優秀な作り手が「いかに長く使ってもらうか」を考えて設計しているのですから、個人の意志で真正面から張り合うのは分が悪い。だからこそ、根性ではなく「仕組みで対抗する」のが正解です。以下、今日から試せる対策を具体的に見ていきましょう。
もっとも手軽で効果が大きいのが、通知の見直しです。連絡に必要なアプリ以外、SNSやニュース、ゲームの通知はほとんど切ってしまって構いません。通知は「向こうの都合であなたの注意を奪う仕組み」です。オフにするだけで、スマホを手に取る回数がぐっと減ります。バッジ(アイコンに付く赤い数字)も消しておくと、気になって開く回数が減ります。
スマホの画面を白黒(グレースケール)に設定すると、鮮やかな色による刺激が減り、アプリを開く魅力が下がります。カラフルなアイコンや動画のサムネイルは、それ自体が「見たい」という気持ちを誘う仕掛けだからです。設定のアクセシビリティ項目から切り替えられる機種が多いので、試しに一日やってみると効果を実感しやすいでしょう。
スマホには、アプリごとの利用時間を制限する機能が標準で備わっています。「このSNSは1日30分まで」と決めておけば、上限に達したときに自分を止めてくれます。意志の力ではなく、あらかじめ決めたルールに従うだけという状態を作れるのが利点です。制限を解除するのにひと手間かかることも、思いとどまるきっかけになります。
手の届く場所にスマホがあると、無意識に手が伸びます。だから、物理的な距離を作るのが効きます。
ここが一番大切かもしれません。私たちがスマホを触るのは、たいてい「手持ち無沙汰」「疲れた」「なんとなく」といった気分のときです。そのすき間を埋める別の行動を先に決めておくと、スマホに手が伸びにくくなります。
ポイントは「終わりのある気晴らし」を選ぶことです。無限スクロールと違って、明確な区切りがあるものなら、ダラダラ続かずに切り上げられます。休憩したはずなのに余計に疲れる、という事態を避けられるのは、この「区切り」があるかどうかの差です。
スマホを触る回数の多くは、はっきりした目的があってのことではありません。信号待ち、エレベーターの中、テレビのCM——ほんの数秒の空白を埋めるために、無意識に手が伸びます。この「なんとなく開く」を減らすと、1日のスマホ時間は驚くほど変わります。
SNSを見て気分が沈むとき、その正体はたいてい「比較」です。他人の投稿は、その人の生活のいちばん良い瞬間を切り取ったものだと分かっていても、つい自分と比べてしまう。もし特定のアカウントを見るたびに落ち込むなら、ミュートやフォロー解除をためらう必要はありません。自分の心の状態を守ることは、わがままではなく大事なセルフケアです。SNSは道具であって、振り回される相手ではありません。
スマホやSNSを完全に断つ必要はありません。目指したいのは「自分が使いたいときに使い、そうでないときは離れられる」状態です。今日紹介した対策のうち、まずは通知オフと「物理的に遠ざける」の2つだけでも試してみてください。小さな変化でも、頭の中が静かになる感覚に気づけるはずです。
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